お別れ [日々雑感]
先日、祖母を亡くしました。
かなり高齢で、ここ二年ほど前からは寝たきりで会話ができませんでした。
そのような状態になることをとりわけ嫌がっていた祖母でしたので、悲しみより、やっと楽になれたのかなという気がしています。
本当の別れが来てしまったという寂しさもありますし、一世紀近くを生き抜いた祖母に尊敬の念も感じます。
わたしは、祖母が旅立つときには、きっと虫の知らせなり枕元に立つなり、何らかの形で知らせてくれるのではないかと密かに思っていました。
というのも、祖母は、神仏への信仰をはじめ目に見えない世界のことを当たり前のように信じていた人で、わたしが子どもの頃、祖母が見た正夢の話をいくつかしてくれたこともあったからです。また、孫の中でもわりと私を可愛がってくれていましたし、意思の強い人だったからです。
ですが、実際には何も起こりませんでした。
わたしは霊感が全くないので、キャッチできなかっただけかもしれませんが…^^;
年末年始に帰省したときに、こんなことがありました。
祖母を見舞って声をかけていると、ここ数年は薄眼を開ける以外の反応は見せなかった祖母が、枕から頭を上げ、ぱっちり目を開けて、漫画のような笑顔の口になって、しばらく私の方を見つめたのです。
はっとして呼びかけても、返事はありませんでした。1分間くらい(に感じました)続くと、また元のように枕に頭をつけて目を閉じてしまいました。
直前に、看護師さんが病室の外から私たち家族にあいさつをされたので、看護師さんに対する反応だったのかもしれません。ここ数年私が見ていた様子とはあまりに差があったので、何かの反射なのかとも思いました。
それとも、その一瞬意識がはっきりして、私だと判って笑顔になったのだろうか、そうであってほしいとも思いました。
あれは何だったのだろう、と何度か思い返すことがあったのですが、今回妹と祖母の話をする内に、答えが見つかりました。
妹が先月帰省したときに、やはり祖母がぱっちり目を開けて、何か言いたそうに口をぱくぱくさせていたというのです。
わたしたちと会うのが最後だということがわかって、祖母は別れのあいさつをしてくれたのではないか。
こうやって文章に起こしてしまうと、偶然と言われればそれまでの思い込みのような気もしてきます。
でも、祖母には、そういうことを起こしそうなところが確かにありました。
こう書きつつ、わたし自身は霊感が全くなく、非科学的なことは9割方信じていません。
こんなわたしは、虫の知らせを起こすことも誰かの枕もとに立つこともないだろうなと思います^^ゞ
寝たきりや痴呆になることを嫌がっていた祖母。
まだときどき意識がはっきりすることがあった時期に、父に「もういいけんね」(延命はしなくていいからね)」と伝えたそうです。
そんな祖母ですが、寝たきりになった時期は、わたしが見る限り(といっても年2回しか行けませんでしたが)穏やかな表情をしているように見えました。
わたしも自分が寝たきりになったり、痴呆になったりするのは嫌というか嫌悪すら感じてしまうのです。若いときは長生きまではしなくていいからポックリ行きたいなどと考えていました。
でも、祖母のように与えられた命をひたすらに全うするのが、人の本分なのだと改めて思いました。
与えられたこの体、自分の足で歩んできたこの人生を最期まで生き抜いて行こう、そんなことを再確認したのでした。
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