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ビフィズス菌から「生きる力」へ [日々雑感]

So-netニュースに『ビフィズス菌が腸を細菌から守る仕組み解明』という記事がありました。

http://news.so-net.ne.jp/article/detail/548436/

理化学研究所などが、ビフィズス菌の作る酢酸がO157感染を抑止することを発見したとのこと。
がんとは関係ないのですが、プロバイオティクスのことは気になる。どんなビフィズス菌なんだろうと思って、理化学研究所のサイトでプレスリリースを読んだのですが、詳しい記載はなし。

http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2011/110127/detail.html

これが1/27発売のネイチャーに載るとのことで、ネイチャーのサイトを見てみたら、「Bifidobacterium longumの株の1つ」と書いてありました。

Nature 469, 7331 (Jan 2011)

Highlights: 細胞:プロバイオティクス細菌の防御効果

ビフィズス菌は、「プロバイオティクス」としてヨーグルトなどの食品に用いられることがあるが、ヒトの腸にも自然に常在し、感染防御を行うことが知られている。今回、その防御作用の少なくとも一部を担うと考えられる機構が、酢酸の産生であることがわかった。ビフィズス菌の一種であるBifidobacterium longumの株の1つをマウスに経口投与すると、致死性のある大腸菌O157:H7の感染から防御されることが明らかになった。これは上皮細胞での宿主防御機構の促進によるらしい。

ここにも、ロンガム菌のどれなのか(わかんないけど、「ロンガム菌の株の一つ」ってことは、複数あるんでしょうね…)は書いておらず。ネイチャーを購読すればどの株か書いてあるのかな~?
でも、何千円か出して買っても、一部しか読まずに終わりそう(^^ゞ

 

Bifidobacterium longumって何かなと更に検索すると、
名古屋市立大学医学部分子医学研究所生体制御部門助教授というミウラユタカさんのサイトに
実際に日本で市販されている発酵乳製品や、薬品に表示されている乳酸発酵菌のリストがありました(ただし1998年と古い資料なので、他にも製品はあるのかも)。
そこに、森永乳業のビヒダスとの記載あり。

http://square.umin.ac.jp/miura/essay.dir/yoghurt.htm

 

森永乳業のサイトで、論文のページをを見てみると、Bifidobacterium longum BB536という株の、インフルエンザ、スギ花粉症に対する効果の研究を見つけることができました。

題:「高齢者へのBifidobacterium longum BB536投与がインフルエンザ感染、インフルエザワクチン抗体価及び細胞性免疫能に及ぼす影響」(2010)
要約:高齢者27名に対してB.longum BB536を含有する食品を与えた後、無作為にBB536群とコントロール(プラセボ)群に割り付け観察を行った。BB536群ではコントロール群に比較してインフルエンザ発症数及び発熱者数が有意に低値を示し、NK細胞活性及び好中球機能を高値に維持した。したがってBB536の経口摂取による自然免疫系の増強が感染リスクを低減したものと考えられた。

表題 「Bifidobacterium longum由来オリゴヌクレオチドの免疫活性化作用に関する研究」(2009)
要約:ヒト花粉症症状の緩和効果が報告されているBifidobacterium longum BB536の抗アレルギー作用機序の基礎的知見を得るため、菌体成分であるDNAに着目し、その抗アレルギー作用を検証した結果、BB536のDNA断片の抗アレルギー作用が示唆された。本研究はプロバイオティクスの一菌体成分が、抗アレルギー作用を示すことを明らかにした初めての研究である。

表題 「Influence of Bifidobacterium longum BB536 intake on faecal microbiota in individuals with Japanese cedar pollinosis during the pollen season.」(2007)
要約 スギ花粉シーズンにおける花粉症患者および非花粉症健常者の腸内細菌の変動およびビフィズス菌BB536摂取による影響を調べた。その結果、健常者と違って、花粉飛散に伴って花粉症患者の腸内細菌が大きく変動することが判明した。また、花粉症患者にBB536菌末を摂取してもらったところ、BB536を摂取していないグループと比べて腸内細菌の変動が抑制されていた。

http://www.morinagamilk.co.jp/research/article/research_bijidus.html

へ~、ビフィズス菌が花粉症に効くというサプリメントがあるし、美容師さんから1年ヨーグルトを食べたら花粉が治ったんです~、と言われたことはあったけど、ほんとに効くのかも。

 

“Influence of ~”のもう少し詳しいことが、「医療情報サービス Minds(マインズ)」にあり。

クリニカルクエスチョンおよびこの論文における回答  
Q: スギ花粉症患者において,Bifidobacterium longum BB536 (プロバイオティクス) の摂取は,プラセボに比して花粉シーズン中の正常な糞便菌叢 (?faecal microbiota) の保持に有効か?

A: スギ花粉症患者において,Bifidobacterium longum BB536の摂取は,プラセボに比して,花粉シーズン中の糞便菌叢を正常に近づけるために一定の役割を果たしている可能性がある。
 
https://minds.jcqhc.or.jp/stc/0024/4/0024_G0000091_C0002969_0001.html

 

プロバイオティクスもどんどん新しい研究が進んでいるんですね~。頼もしい!
O-157に効くのがBB536なのかはわからなかったけど…。

 

冒頭の理化学研究所のプレスリリースで、がんに関するものも発見。

『蛍光イメージング技術によって抗がん剤の作用を再評価』

オリンパス株式会社(菊川剛代表取締役社長)と共同で、細胞周期をリアルタイムで可視化する技術を薬効評価実験に応用し、抗がん剤にさらされた細胞が示す細胞周期異常を多面的に解析しました。その結果、分裂をスキップして核DNA量を増大させる現象など多様な細胞応答を観察することに成功しました。
http://www.riken.go.jp/r-world/research/results/2011/110125/index.html

 

とのこと(笑 要約しなさいって?!)抗がん剤に対するがん細胞の反応を目で見て観察できるような技術ってことですかね~。

今回、抗がん剤に対する細胞の応答性を調べる研究にFucci技術を活用し、個々の細胞が見せる反応を定量的に観察することを試みました。
古典的な抗がん剤として有名なエトポシドで処理した細胞の反応を経時的に調べたところ低濃度ではG2(分裂前準備期)期における細胞周期進行が停止する現象(G2 arrest)、中濃度では細胞核が分断化する現象(nuclear mis-segregation)、また高濃度では細胞分裂をスキップして核DNA量が増大する現象(endoreplication)が観察されました。
nuclear mis-segregationを示す細胞が死に向かうのに対して、endoreplicationを示す細胞は、抗がん剤に対する抵抗性を獲得したものと見みなされます。
この結果は、高濃度の抗がん剤投与によってがん細胞がより悪性化する可能性を示しており、現行の抗がん剤開発におけるスクリーニング方法に一石を投じるものと注目されます。

つまり、この細胞実験では、中濃度の抗がん剤で処理した細胞は死にそうになったのに、高濃度の場合では、DNAが増えるってことは、細胞分裂に備えてDNAが複製されてるっぽいってことですかね~。
濃ければいいってものではないんですね。(かといってこれは単純に、臨床で使用されている標準の濃度=中濃度ということではないでしょうけど)そういうことを確かめることもできると。

こういう技術は、薬を作るときに応用できるそうです。
すぐに新しい研究結果が出ても、実用化されるには何年もかかると思うのですが、少しでもがんに関わる研究が進むことは、やっぱり嬉しいです。

 

今日は、遊びみたいなものでしたけど、病気がわかった頃一時期は、仕事から帰ってから毎晩のように、ネットで自分の病気のことを調べました。
上野直人さんの『最高の医療を受けるための患者学』には、

インターネットを闘病の武器として、「その気になれば、最新の論文だってインターネットで見られる時代です。言葉の壁などもあるかと思いますが、最新の情報を日本語に訳しているサイトもあります。患者会も、多くのためになる情報をインターネットで見られるようにしています。」

と書かれています。
子宮頸がんの小細胞がんについては、まだ標準治療さえ確立されていない状況。
検索しても、希望のもてるような、新たな研究や論文を見つけることはできませんでした。
でも、自分で調べることで、医師から提示された治療法に納得することができました。それは自分にとって大きかったと思います。

 

最近は英語でも検索してみたりしましたが、やっぱり目新しい期待を抱かせてくれるようなものは見つけることはできませんでした。
(英語で検索するときは、small cell cervical cancer, small cell/small cell carcinoma of the cervix/small cell cancer of the cervixなどで検索できます。また、Googleだと、学術記事の検索結果だけ表示してくれる機能がありました。)

症例数が少ないがんの研究をしてもらうには、どうしたらいいのでしょうね??

とはいえ、かえってさっぱりするというか(笑)、なるようにしかならないなって。

 

それにしても、こういう論文(要約でも)を読むのは(流し読みのくせに何を言う)疲れまする~!
日本語でさえ、患者向けに書かれたもの以外は、なっかなか頭に入ってきません(^^ゞ
英語ともなると(論文となると英語の方が数が多いですからね)、確かに翻訳サイトはあるけど、へんな日本語になりません?
だいだいこんな感じのことかなって推測したり、結局英文を読み直して確かめたりって感じで、一般ピーポーには大変です。
(英語の論文にまで手を伸ばそうとする人は、比較的若くて、英語の文献を読むのに慣れている人だけでしょうけどね。)
たくさん見れば、単語には慣れてきます。あとWeblioのようなネット上の辞書も役に立ちます。
あと、病気がわかった直後であればこうは言えなかったでしょうけど、英語のブラッシュアップにはなります。(転んでもただでは起きぬ)
本格的に研究したい患者さんは、医療系の翻訳ソフトを買われるのかもしれません。(安くとも1万円台後半からのようです、って検討したんかい?!)

いい加減なサイトは信用できないし、専門的なものは理解できないし(笑)、困ったことです。

 

がんと闘うと言っても特別なことではなく、体力+精神力、想像力、学力、コニュニケーション力、団結力、創造力、知恵・・・結局「生きる力」の総力戦なのかもしれません。


 

でも~、今この空のどこかでも、自分の病気のことを知るために、必死で難しい文章を理解しようとがんばっている人がいると思うと、胸が痛いし、もう少しなんとかならないものかなと思ってしまうのでした。


 


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