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参考にした本6 [各種療法・予防法について]

『最高の医療をうけるための患者学』上野直人著 講談社+α新書(2006)

 

以前、週刊文春の記事(論文?)のことを書きました。あの後、その記事(論文)の著者の一人である上野直人医師の本を読んでみました。

 


主体的に医療に参加して最高の医療(自分にとって最良の医療)をうけるためのノウハウが、9つのステップで書かれています。文章がわかりやすく(手とり足とりぐらいの勢い)、とても読みやすいです。この先生が主治医だったら、病気のことをわかりやすく説明してくれるんだろうな~と思いました。

 

ステップ1 あわてずに自分の病気を知ろう
ステップ2 必要な情報を病院で集めるコツ
ステップ3 「自分のカルテ」を自分で作る
ステップ4 質問上手になる
ステップ5 医師の話した内容を消化する
ステップ6 その治療は標準療法ですか
ステップ7 ベストの治療法を決断する
ステップ8 自分の希望を伝えましょう
ステップ9 恐れずチャレンジしよう(セカンドオピニオン、臨床試験など)

 

これって本来は、告知されたら一番始めに読むべき本です。あるいは、病気になる前に読む本。病気がわかってから、まもなく一年経つわたしが読んで、「自分のやり方は間違ってた!」とか今更思うのは嫌だな~という懸念があったのです。でも、これからもがんとは長いお付き合いですからね。勉強しようと思い読みました。読んでよかったです。

 

自分が試行錯誤しながらやってきたことで、「間違ってなかったじゃん♪」と思うこともありました。同時に、「そんなやり方があったか~!(反省)」ということもありました。

 

詳しくはご自身で本を読んでいただくとして、ここでは私の反省点を書きます。

 

①あわててなかったとは言えないな~(^^ゞ

 

自分ががんになると思っていなかったところから、子宮・卵巣っていう大事なところを取らないといけないと言われて、とにかく「子宮頸がん」のことばかり調べていました。がんについての書籍を何冊か買ったときに、この本も「目に入った」とは思うんですね。でも「目に留まらなかった」のだと思います。治療法のことばかり考えていたので。

 

健康なときにも、患者学の本があるって耳にしたことはあったのでしょうが、私の心に留まらなかった。なぜなら、自分は健康で、もう少し年をとるまでは大丈夫だと思っていたからです。

 

この本によると、一部の進行の速いがん以外は数週間で急激に進行するということはなく、慌てて治療をする必要はないそうです。まず落ち着いて、自分の病気を把握したり、セカンドオピニオンを聞いたりする。わたしの場合は結果的には進行が速い方のがんでしたから悠長にはしていられませんでした。それでも、小細胞がんとわかるまでの1ヶ月間、まずこの本を読んでいれば、もっと遠回りをせずに済んだのかな~と思います。

 

ステップ1には、細胞診・組織診の標本の保存のこととか、大切なことも書いてあります。

 

この本でなくてもいいので、この機会に、がんと分かった方も、まだがんになっていない方も、この手の本はたくさんあるので1冊読んでみてください。

 

②「知る責任」なんてあったのね~(^^ゞ

 

「医師が言わなければ自分は知る必要がない」って、たしかに私はそういうところがあったかもしれません。私は遠慮しいなので(?!)、ちょっと???と思っても、そのまま帰ってくるということがたくさんあったと思うんですね。さすがにこの病気になって、少々粘るようになりましたが。

 

この本は全体を通して、医療者だけで日本の医療を変えることは無理だから、患者さんが成長して、医療者を育てましょう♪というメッセージがあるのです。説明下手な医師でも、患者が質問することで、説明が引き出せる。でも、病気になってすぐに質問上手にはなれないから、普段から練習しておきましょう、と書いてあります。

 

でも、この本に書いてあるコミュニケーション力って、なにも医療者相手に限らないと思うんです。お店でも役所でも、職場でも、家族とでも、相手の考えていることを引き出す必要があることがある。だから、医療者とのコミュニケーションを通じて自分のコミュニケーション力を磨くっと思って、チャレンジするといいのかもしれません。(もちろん、医療者相手ならではの質問フレーズというのはあるでしょう。)

 

やっぱり、健康なうちに教養本として読んでおくべきだな~。そのときは読みっぱなしになっても、頭の片隅には残って、いつか自分を助けてくれるのではないでしょうか。

 

③「自分のカルテ」を作っておくっていいかも!

 

私はいい加減な人間なので、つい医療機関で既往症を言い忘れたりしたこともあったんです。(それだけ、重大な病気でなかったということでもあるので、ありがたかったのですが)そして、これから新たな病院に行くこともあるかもしれないので、早速作りました…と言いたいところですが、まだ作ってません(^^ゞでも、2月末までには作ります!

 

④知識で武装する(標準治療が何か、エビデンスのレベル)→テレビ・新聞・書籍・インターネットの情報を鵜呑みにしない

 

テレビで免疫をUPするにはえのきを食べるとよい!とか言われると、へ~♪と思って、えのきを食べる量を増やしてみたり…(笑)ま、おかげでえのきが好きになりましたよ。健康でいるうちはいいんですよね。「そうなんだ~」と思って、多少半信半疑でもスルーすればいいだけ、何にも困らないんです。でも、大きな病気をしたときは気持ちが弱ります。すがった藁がニセモノでも、一度握ると離すのが怖くなってしまいます。

 

これとかこれとかこれとかこれとかこれを読んでいただくとわかると思うのですが、私はもっと楽に情報の取捨選択ができたはずだと思うんですね。実際の私は、何の武器も持たずに、がんとの闘いの戦場に放り出されて、相手を見極めつつ、エセ情報と商売人をかわしつつ、拾った武器で闘ったみたいなものです。いやはや、大変でした(笑)(こういう本を読んでいても、楽に闘っている人なんていないでしょうけどね!)

 

でも、自分で試行錯誤する間に、エセ情報のパターンが見えてきましたよ、フフフ(笑)そういう本(代替療法の見分け方など?)もあるみたいです。何事にもハウツー本がある時代です。

 

それと私は、標準治療のとらえ方が甘かったかな~と思います。誰もが安心して受けられる治療法という認識はあったのですが、最新治療があればそれに越したことはないんじゃないかとはじめは思っていました。必ずしもそうとは言えないんですね。

 

エビデンスレベルとか、手術前は全然考えていなかったです。だから情報を取捨選択するのに、時間がかかっていたと思います。この情報は信頼できる、この情報は参考程度、この情報はゴミ(笑)とかって、知識があればもう少し楽に仕分けできてたかな~と思います。

 


上野医師はアメリカの病院で診療をされている方だからか、日本でそこまでするのは大変じゃないかな~とか、誰にもできることではないぞ~とか思うこともあるんです。でも、どこまで取り入れるのかも自分次第。本質を理解したうえで、自分にできるところを取り入れればいいのだと思います。

 

何かのご縁で、この記事を読んでくださった方、どうぞ私のように遠回りをせずに、病気との闘い方をこういう本から教えてもらっちゃいましょう!


 


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文藝春秋二月号 立花隆VS近藤誠 も読んでみた [各種療法・予防法について]

ま、読んでもそれを検証する能力は私にはないわけですが…(笑)
週刊文春の反論記事を読んだ後だったので、ここは嘘言ってるのかな~とか、この部分はどうなんだろう、などと思いながら読みました。


「今回の議論の材料として近藤さんが見つけてきた、昨年三月に認可されたばかりの新しい分子標的薬『ベクティビックス』ですが…」という立花氏の発言から、『ベクティビックス』という薬のことが前半の話題の中心でした。

認可の際の審議会議事録の話、PFS(無増悪生存率)は使用した患者で成績がよいのにOS(全生存率)は使用した患者とそうでない患者でグラフが重なっていることなどを元に、『ベクティビックス』の認可に疑問を呈しています。

近藤氏の「PFSの問題として、増悪を抑えているのに、なぜOSがよくならないのかがわからない。がんが再発も進行もしていないのに、寿命が延びないというのは矛盾しています。」という発言については、ほんとどうなんだろう、と思いました。わかる人にはわかるんでしょうけど!

最後の方では、分子標的薬について今後の可能性を期待しつつも、これまでの固形がんに対する分子標的薬はすべて落第点と言わざるを得ない、としています。この辺もわたしにはわかりませんが、「ベクティビックス」を例に挙げた点について、腫瘍内科医の方々からは、自分の論旨に都合のいい例だけを持ち出している、などの反論はあるかもしれないですね。

次に、「無治療と言う選択もある」という点については、二人の意見が一致していました。そこで、筑紫さんの例が出ていたのですが…。立花氏によると、筑紫さんの先輩でずっと前にがんになった人がいて、その人は抗がん剤的な(的なって?)治療を一切やらない選択をし、筑紫さんが末期になったときにも、まだ元気にされていたとのこと。「だからそういう(無治療)選択もあるのかなと思いました。」という立花氏の発言に対して、近藤氏も、「その通りだと思います。」と答えています。

ただ、筑紫さんは肺がんの小細胞がんだったと聞いています。筑紫さんの先輩という方が何のがんだったのかは書かれていないのでわかりませんが、同じ肺がんの小細胞がん(進行が早い)でないとしたら、比べるのがおかしいと思います。こういう会話を見ると、ごまかされないぞ!っと思ってしまいます。

立花氏は必ずしも近藤氏に全面賛同しているわけではないようですが、著名な立花氏との対談ということで、近藤氏への注目は高まると思います。

週刊文春の記事が出たことで、近藤氏VS腫瘍内科医という構図もできたことですし、立花氏が勝俣氏と上田氏とも対談した方がフェアなのではないかなと思います。

 

さて、今更ながら、近藤誠氏がどんな医師なのか、ちょっとだけ調べてみました。

知り合いが主治医に聞いたところによると、慶應大学でも「つまはじき」で、患者を回してもらえない、ほとんど診ていない、のだそうです…。

今度はAmazonで最新著書『あなたの癌は、がんもどき』の紹介のところを見てみました。

内容紹介
医学界に大論争を巻き起こした『患者よ、がんと闘うな』(文藝春秋)から15年、孤高の医師、近藤誠が沈黙を破って今語る。最新臨床データに基づく「がんもどき理論」の最終見解!論争再燃必至!

著者紹介
慶応義塾大学医学部放射線科講師 乳がん治療では早くから乳房温存療法を実践


「孤高の医師」ですか。医学界の常識と違うことを言っちゃったからそうなったのでしょうか。
こっちはPHP研究所のHPに記載されている人物紹介です。

1948年、東京都生まれ。慶應義塾大学医学部卒。現在、同大学医学部放射線科講師。悪性リンパ腫の抗がん剤治療で成果をあげ、乳がんに対する乳房温存療法のパイオニアとして知られる。「日本は手術のしすぎ」など医学界の常識を覆す主張を展開。また、「医療事故調査会」や「患者の権利法をつくる会」の世話人を務めるなど、市民と連携した医療改革、情報公開の徹底を目指し、早くからセカンド・オピニオンの重要性を説いている。(データ作成2001年)


抗がん剤治療にも携われていた方なのですね。乳がん温存療法のパイオニアって、すごいんだな~。人がしないことに取り組まれてきた方なんですかね。

週刊文春の反論通り、近藤氏の説に誤りが多いとしたら、それはどうしてなのでしょう。

勝俣氏&上野氏が書かれているように「初心者にありがちな誤り」なのでしょうか。自説を本気で信じているのか。

それとも、本を売るためにセンセーショナルなことを書いているのか。


そして、ほんとのところ、何が正しいのか。


きっとグレーのまま終わるんだろうな…

 


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週刊文春(2011年1月20日号)「『抗がん剤は効かない』は本当か」について [各種療法・予防法について]

たまたま友達から、週刊文春に抗がん剤についての記事が載ると聞き、買って読んでみました。

その友達から、近藤誠氏の抗がん剤に対する批判への反論らしいということは聞いていました。近藤誠氏がどんな人か全く知らなかったので、少しネットで調べてみました。慶應義塾大学病院の放射線治療科の医師で、『患者よがんと闘うな』という本が1996年にベストセラーになったそうです。そして、文藝春秋の1月号(12月10日発売)に「抗がん剤は効かない」という文を書いたのだそうです。

一方、今回の週刊文春に載った文を書いたのは、国立がんセンター中央病院の勝俣範之氏とテキサス大学MDアンダーソンがんセンターの上野直人氏という腫瘍内科医です。

抗がん剤の効果について関心のある方、特に抗がん剤は悪いものという印象をもっている方は、ぜひ一読していただきたいと思います。

読みそびれた方のために、わたしなりに要旨(①~⑩)をまとめてみました。

近藤氏の主張:急性白血病や悪性リンパ腫などの「血液がん」には効くが、肺がんや胃がんのような「固形がん」には「たいした効力がない」に対して

①乳がんの「ハーセプチン」、胃がんの「エスワン」、大腸がんの「アバスチン」など再発予防や延命効果が数多くの臨床治験を含む臨床試験で実証されている。これらは世界中の国で「標準治療」となっている。むかしより延命する患者が増えた。

近藤氏の主張:「寿命が延びているかどうか」が、抗がん剤が効くかどうかを判断する上で重要。「延命させる力はない」に対して

②抗がん剤の目的は延命だけではない。症状の悪化抑制などの緩和ケア、手術後の補助療法(乳がんのリンパ節転移を治せる可能性のあることが科学的に証明)、がんを小さくすることで進行がんの手術を可能にしたり切り取る範囲を小さくする術前治療(乳がんの全摘が減った)など。

③延命効果が短いという指摘ならば当たっている。統計的にみると、抗がん剤の延命効果は、ものによっては数カ月。それなら副作用で苦しみたくない人もいる。副作用は抗がん剤の大きな問題のひとつ。患者の中には副作用がまったく出ない人も重く出る人もいる。重く出た場合には、薬を替えたり、副作用を抑える薬を使ったりする。抗がん剤は恐ろしいという先入観のみを持って、治療を拒否するようなことはしてほしくない。

④体力が著しく低下した患者に投与すると、容態が悪化し死亡してしまうことがある。抗がん剤を投与する医師は、専門知識を備えたプロでなければならず、また医師も患者も「薬が合わないようなら、いつでも抗がん剤治療をやめる」選択をする勇気を持っていなければならない。米国では腫瘍内科医以外は、基本的に抗がん剤治療はしない。日本では腫瘍内科医が少ないために、外科医など専門外の人が抗がん剤を投与せざるを得ない状況があり、一刻も早く変える必要がある。

 

近藤氏の主張:臨床試験にはインチキがある。※エスワンやハーセプチンの国内の臨床試験で、研究者が都合の悪いデータをねじ曲げたり隠していた。「研究者と製薬会社との経済的結びつき」のために改ざんが行われている。に対して

⑤臨床試験のグラフが不自然だから「人為的操作が介在している」という指摘はまったく根拠がない。都合のいい臨床試験だけを示して、他の複数の試験について触れないやり方はフェアではない。

⑥近藤論文の主な誤り(10項目)(国立がん研究センター中央病院・レジデント有志グループ作成)

⑦※→驚くべき指摘。これが事実なら、薬事法に違反する大スキャンダル。近藤氏は事実関係を明らかにして告発すべき。

⑧近藤氏が言うほど臨床試験は甘いものではない。(事前登録制、データ信頼性の確保、記録保存の義務、監査、査察)

⑨研究者の利益相反関係はゼロではないが、だからデータに人為的操作があるという指摘は時代遅れ。

⑩(原文のまま)「近藤氏の論文を看過することができないのは、こうして厳しい臨床試験を通ってきた抗がん剤を否定し、ひいてはその抗がん剤を組み込んだ標準治療を否定している点です。ホームラン級の新薬と評価されているハーセプチンさえも否定しており、科学者として責任を問われない発言までしています。
近藤氏の発言には影響力があり、実際に、彼の主張を信じて、抗がん剤治療を受けなかった患者さんを診たことがあります。その方は不幸にも亡くなりましたが、最初から適切な抗がん剤を使った治療しておけば、治癒の可能性もあったケースでした。」

最後に、患者は誤解のないように適切な治療選択をしてほしい、とまとめています。

 

①⑤⑦⑧⑨などについては、私には確かめようもありません。週刊誌ですから、私が満足できるほど詳しくは書いてありません。たとえば、細かい話ですけど、「世界中の国で標準治療」って書いてありますが、「世界中」という言葉の受け取り方は人によって違います。本当なら「世界の○カ国」とか具体的に国名を挙げるとかしてくれればより説得力があるのですが。文藝春秋の2月特別号には近藤氏と立花隆氏の対談が載っているとか。どうせなら、徹底的に、ちゃんとデータや根拠を示して、直接対決してはっきりさせてほしいです。

でも、標準治療とは、科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる最良の治療ですから、効果があるのでしょう。少なくとも「固形がんには効果がない」という近藤氏の主張は誤りのようです。

 

そして、この半年間化学療法を受けてきた者として、③④については実感として納得できる点があります。

③私が投与を受けたシスプラチンは、腫瘍効果の高い抗がん剤ですが、副作用も強く、吐き気や嘔吐を引き起こします。去年までシスプラチンの投与を受けた方の中には、治療中の嘔吐に苦しんだ方も多いと思います。ですが、イメンドという吐き気を抑える薬が承認され、2010年の4月から使えるようになりました。それで嘔吐まで行く患者は随分減ったようです。イメンド承認前に別の抗がん剤の治療をして、そのときは嘔吐の副作用に苦しんだけど、今回はイメンドがあるから随分違うと言っている患者さんにも会いました。イメンド以外にも、いろいろな吐き気止めの薬の名前を聞きました。同じ抗がん剤を投与されても、副作用の出る度合いは本当に人それぞれでした。イメンドのおかげで嘔吐はほとんどなかったのですが、私は人より気持ちの悪さが強く長く出てしまいました。イメンドの他にデカドロンというステロイド薬を数日間飲むのですが、副作用を緩和するため、デカドロンを飲む期間を長く、急に終わらないようにする、入院期間を長くするなどの対策をしてもらいました。

④私の場合は、4~6クールの治療を行う予定でした。6クールできればその方がよいということでしたが、吐き気の副作用が強く出たため、3・4クールの辺りで精神的に追い詰められてきていました。カンファレンスで、私の場合は標準治療ではないので、無理に6クール治療を受ける必要はなく、4クールで終わってもいいという提案を私にした方がいいのではないかという話があったそうです。私は6クール治療を受けることを自分で選びました。少なくとも、私が通っているC病院には腫瘍内科医がおり、医師からむやみに治療を進められることはありません。白血球が一定以下に下がった患者さんたちは、上がるまで待ってから治療を受けていました。

⑩についてですが、私も他の患者さんから、抗がん剤を拒否して民間療法や代替療法に次から次へとお金をつぎこんで亡くなった知り合いの話を聞きました。抗がん剤や三大医療に対する批判を行うことで本やサプリメントを売ろうとする人々がたくさんいますから、信じてしまう人もいるのでしょう。
そういう私も、化学療法が怖くて、しなくて済む理由を探しました。詳しくは前の記事を読んでください。でも、やっぱり普通の(って言い方が難しいですけど)治療以上に信頼できそうな方法は見つけることができませんでした。

そして、入院している間にたくさんの患者さんたちと出会い話をしてきました。「ここにいれば治る気がする」という言葉を何回も聞きました。それと、余命数カ月、半年と言われてからもう2年生きている、5年生きているという人を何人も見ました。腫瘍を切りとる手術・放射線治療・化学療法以外にも、いろんな治療があるんだとわかりました。日本の医師たちはドラッグラグなどの問題がある中でも、本当にがんばってくれていると思います。

がんの治療は苦しいこともあります。だから楽な方法を提示する主張は心に入りやすいです。でも、本当に頼ることができるのは誰かを考えるべきだと思います。

一方で、日本には腫瘍内科医が少なく、適切に化学治療を受けられていない人々がいるというのが問題です。改善してほしいと思います。

 

わたしには、近藤誠氏VS勝俣範之氏&上野直人氏のどちらの主張が正しいのかを判断する材料がありません。ですが、実感としては後者です。そして抗がん剤が効果のある治療ならば、みんなが安心して治療を受けることができるように、この際公の場ではっきりさせてほしいと思います。

 

文藝春秋の1月号2月号はまだ読んでいないのですが、週刊誌のことなので早くブログでお知らせしたいと思いました。これから文藝春秋を手に入れて読んでみようと思います。

 

私の化学療法のことも、今後書いていきます。

 

 


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参考にした本5 [各種療法・予防法について]

『免疫細胞療法』 武藤徹一郎(癌研有明病院 名誉院長) 監修

帯に書かれているのは、こんな文面です。

癌研有明病院、東大病院、日赤医療センター、大阪医療センター、九州大学病院、順天堂大学、瀬田クリニック……がん専門医19名の書きおろし!

最新の治療技術を組み合わせ 再発・転移・進行を防ぐ

手術で子宮を摘出することになっても納得するために、他に方法がないことを確かめたかった私。この本は、免疫療法について書かれていながらも、自由診療のクリニックで免疫療法を行っている医師たちが宣伝のために書いた本ではなく、主にがんセンターや大学病院で研究している医師たちが書いている点、それ故に最新の治療技術について知ることができそうな点がよいのではないかと思い購入しました。

前書きにも、

本書は「これを読めばがんが治る!」「これさえあれば大丈夫!」というお手軽な一冊ではない

と書いてあります。

免疫細胞療法の本でありながら、第1章の第1部は、三大療法がそれぞれどういうものなのか、どのくらい進化しているのか、そしてそれぞれの治療の弱点や課題についても書かれています。最新の三大医療についてよく理解した上で、免疫細胞療法のことを学ぶという寸法になっているのですね。

第2章では、最先端の免疫細胞療法についての報告となっています。それにしても、一口に免疫細胞療法といっても、随分たくさんの種類があるものです。本書からざっと書きだしてみます。

・アルファ・ベータT細胞療法
・活性化自己リンパ球療法
・ガンマ・デルタT細胞療法
・強化養子免疫細胞療法
・サイトカイン療法
・CTL療法
・樹状細胞ワクチン療法
・ペプチドワクチン療法
・ips細胞の技術を使ってがんに特異的に有用な細胞をつくる研究
・化学療法+免疫細胞療法
・放射線治療+免疫細胞療法
・分子標的治療+免疫細胞療法
・HIFU+免疫細胞療法

治療法の説明を読んでもよくは分からないけど、難しい研究と臨床研究を進めてくれているんだなぁと頼もしい気持ちになりました。

ちなみに、東大医学部附属病院には「22世紀医療センター」というのがあるんですね。あのー、22世まで待てないんですけど…!(笑)
ここの先生のパートを読むと最後に、

免疫細胞療法は、まだ手探りの部分が多いと感じています。なぜなら、私は、免疫細胞療法は「この性質を持ったがん細胞にはこの種類の免疫応答が有効である」といった分子標的治療であるととらえていますが、それでは投与の対象となるがん細胞がいったいどんな性質をもっているのか、たとえば抗原や標的となる分子がどのくらいの割合で出ていれば免疫細胞治療の効果が得られるのかということもまだわかっていないからです。

と書かかれており…、広く使われる治療法になるには、まだまだ時間がかかりそう、と思いました。

他の医師(研究者)のパートを読んでも、

・まだ解明されていないことが多い
・効果が一番発揮しやすいのは、手術でとりきれなかった目に見えない小さいがんをやっつけるとき(再発予防)
・他の治療法との併用

というような言葉が繰り返し出てきます。免疫細胞療法だけで、今あるがんが治るわけではなさそうです。

国立がんセンター東病院では、5年後の「がんペプチドワクチン」の保険治療承認を目指しているとのこと。ってことは、あと4年経てば、抗がん剤のかわりに「がんペプチドワクチン」の治療を受けられるかもしれないと考えていいのでしょうか。

もし、がんが再発や転移をしても、少しでも長く生きていれば、新しい治療法が見つかるのかもしれない。そんな淡い希望はもつことができました。

ちなみにこの本が出版されたのは2009年3月です。最新の情報は変わって行きますので、それは頭においておかないと、ですね。

そんなわけで、最終的にはこの本を読んで、手術で取るしかないのだと納得することができたのでした。(それでもまだ、円錐切除術だけで済んだらいいなという期待を捨て切れなかったのですが…。)


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参考にした本4 [各種療法・予防法について]

『がんのひみつ がんも、そんなに、わるくない』 中川恵一著

著者は、東大付属病院 放射線科の准教授(別の本では助教授とあり。どっちがえらいのかな?!)の方です。たくさん本を出されています。

この本は定価が680円+税。小さな本です。
「ひみつ」とはありますが、特別な未知のことが書かれているわけではありません。知っておくべきがんについての常識を、69の「ひみつ」という形でとっつきやすく、わかりやすくまとめたものです。文章もやわらかく、わかりやすく、読みやすい。
まだがんにかかってない人が、がんについての基礎知識を得るのによいと思います。

私が治療選択をする上で参考にしたのが、「ひみつ30 サプリメントなどは効果なし」。
「免疫療法にしても、明確に効果があるというデータはそろっていません。抗がんサプリメントなどは、ほとんど効果が期待できないのが実態です。」
「そもそも、世界中の最先端の研究室の優秀な研究者が、まさに命がけで新しいがん治療薬の開発に取り組んでいるのです。そうそう有効な新薬は開発できていないのです。このことを忘れないようにしたいものです。」

これがメジャーな考え方なのか~、と受け入れつつも、済陽氏の食事療法の本で勧められていた「エビオス錠」を購入してしばらく飲んでいた私なのでした(笑)


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